多重人格と共通思考
2020/09/12

真賀田博士や犀川先生は多重人格だ。 それは独立した思考あるいは性格が複数存在するという状態であるが、しかし、おそらくそれはクロックの速さによって成り立っているものだ。 つまり、思考は切り替わる必要がある。同時に複数は存在しない。

では、共通思考はどうだろう。共通思考を構築するユニットである人間やウォーカロン、人工知能やトランスファは複数存在する。 もちろん、彼らは同時に存在しうる。
これが共通思考の大きな特徴ではないだろうか。 共通思考は、多重人格とは似て非なるものだ。

真賀田博士は、同時に複数存在する思考を、思考するユニットを複数繋げるという形で実現した。 これは無理のない方法ではあるが、しかし、人間の中に同時に思考を複数存在させるような方法ではなかった。 ただ、最初は無理のないサイズで作って、その後、サイズを小さくしていくのは、ものづくりではよくあることだ。 もしかしたら、共通思考が、人間のサイズに小さく収まるようになっていくのかもしれない。 そして、もはやサイズは重要な要素ではないのだろう。

“彼"は何を問うのだろうか。 「自分は生きているか」問うのだろうか。